討議資料
琉球新報 2010年9月6日 論壇

「抑止力」のうそ見抜く  与那嶺記者のワシントン報道 比嘉康文

 「新聞なき政府と、政府なき新聞のどちらを選ぶと問われたら、私は躊躇せずに後者だ」。本紙のワシントン特派員・与那嶺路代記者の記事を読むたびに、アメリカ独立宣言の起草者で第3代大統領トーマス・ジェファーソン氏の言葉を思い出す。
 与那嶺記者の「在沖米海兵隊 広がる不要論」の一面トップ記事(7月16日)は「抑止力」という幻をまき散らしながら沖縄に海兵隊基地を押し付ける、日本政府の姑息なやり方を完全に崩してくれた。バーニー・フランク米国下院歳出委員長の「不要論」発言は「政府による抑止力が大本営発表である」ことを実感させた。
 与那嶺記者は4月に派遣された後、5月にはシーラー・スミス米外交問題評議会上級研究員が在沖海兵隊の県外移設を提唱した論文をはじめアメリカの動きを次々と伝えている。
 本土紙が「日米同盟を尊重し、移設先は沖縄」「米国は怒っている」「日米合意を順守」という報道を繰り返しているのをみると、まさに大本営発表である。本紙の編集長などを務めた反骨のジャーナリスト池宮城秀意氏が残した「日本人は根っこのところでは何も変わっていないのではないか」という言葉がよみがえってくる。
 鳩山首相が普天間第二小学校を訪問した時、本土記者たちに浴びせられた県民の声もそのことを物語っている。「君たちは政府の言いなりだけを書いているだけだ」「真実を報道していないじゃないか」「何を書くために来たのか」などの批判がわき起こった。
 『週刊金曜日』(7月30日号)では見出しに「『琉球新報』ワシントン特派で浮き彫り 大手メディアの普天間報道の偏向ぶり」として掲げて高く評価している。高知県高教祖は独自のブログで与那嶺記者の記事を紹介、大手メディアを批判している。
 本紙の編集局報道本部長の普久原均氏が「米国の民主党系の学者には沖縄への基地集中を危ぶむ人も多いのに、日本ではほとんど報じられなかった」という言葉は、日ごろの研さんを感じさせる。
 その同じ紙面には小沢一郎氏が「なんで米国に言えないのか」と民主党執行部に苦言を呈している記事が載っている。民主党の代表が小沢氏グループに変われば、与那嶺記者の記事で紹介された米国議院やその動きと結びつき、在沖米海兵隊の全面撤退も夢ではないことを実感させる。みんなで与那嶺記者を応援、支援しようではないか。
(宜野湾市、68歳)



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