討議資料

沖縄タイムス2015年2月28日 論壇

独立見据え知恵結集を  広大な海域に有望な資源 屋良朝助


 「沖縄は独立したら、経済的に成り立つのか」。最近、多い質問である。その場合、私は「じゃあ、沖縄が独立をしなければ経済的に自立しなくても良いのか」と反論している。
 資源は少ないが、1人当たりの所得が世界第3位のシンガポール共和国は沖縄県の3分の1の面積で、マレーシア連邦から追放されて独立した。沖縄は辺野古の新基地建設は中止するから援助はやらない、もう勝手に独立しろと日本政府から言われた時、沖縄の経済自立を考えないといけない。
 日本復帰前、沖縄は米軍政下のドル経済で、主に日本を含む外国の製品を輸入するだけで、独自の生産基盤を築かず、沖縄からドルが大量に流出していった。
 1970年に結成された琉球独立党の党首、野底武彦氏は沖縄で最初の公認会計士であったが、その知識を生かした。沖縄全体の経済的な面を重視、ドルの流出をコントロールするため、琉球中央銀行の設立を主張した。沖縄の独自通貨も発行することを提案していた。しかし、その構想に沖縄の識者、大学教授などは耳を傾けなかった。野底氏が訴えた2年後、日銀の副総裁を団長とする本土の金融調査団が来沖、その調査報告書で中央銀行の必要性を強調している。(『沖縄独立の系譜』)
 沖縄と違って通貨切り替えの経験がないスコットランドは独立住民投票の時、イギリス政府に「ポンド紙幣の使用を認めない」と脅されて独立派は萎縮してしまった。野底氏が主張した中央銀行の構想や人口10万人のトンガ王国でさえ発行し使用している独自通貨の知識はスコットランドには無かった。
 それから野底氏は政治家として沖縄の経済自立に役立てるため尖閣諸島の海底油田の掘削、海洋の開発を47年前にすでに主張している。
油田は、世界のメジャーに採掘させて、その利益を配分すればよいだけなので、沖縄側が莫大な資金を用意する必要はない。
 また琉球諸島の海域は広大であり、無限の宝庫であると野底氏は日本復帰前に予見している。
最近、沖縄の海域ではメタンハイドレードや熱水鉱床などが発見され、有望な資源として注目されている。
 他に、この広い海域を活用する私の新しい案だが、サケが元の川に戻る習性を他の魚類に利用し、餌の供給が要らない生産方法「海洋広域放牧場」を沖縄県主導で研究してもらいたい。
 沖縄の政治家、経済人、学者など、指導的な立場の方々が将来の独立を念頭にものごとを進めれば、基本がしっかりとした、豊かな沖縄になるだろう。

独立見据え知恵結集を

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