琉球独立論資料

潜在的独立派”が増加

復帰45年 変わるウチナーンチュ像  基地強行 怒り表れ

琉球新報 2017年1月3日 2016年琉球新報県民意識調査から


「連邦制というのは、中央政府から見れば独立と同じ意味だ。ウチナーンチュの自信と怒りが高まってきた表れだろう」。沖縄国際大学経済学部の友知政樹教授は、琉球新報の県民意識調査で「沖縄の今後のあり方」について「連邦制」が14・0%となったことに驚く。「連邦制」は今回、選択肢に新たに加わった項目だ。「政府の専権事項とされる外交・安全保障の権限を沖縄に移すべきだと考える人がこれだけいることが明らかになった」と語り「独立」「単独州など」と合わせて計34・5%が自治権強化を求めたことに「潜在的な独立派が増えたと言っていい」と強調した。

友知氏は昨年3月の琉球民族独立総合研究学会の会合で、学生314人を対象にした沖縄独立の是非を間う調査結果を発表した。「独立すべきだ」と答えた学生は8%だが「政治、経済の安全が保障されるなら独立すべきだ」という“条件付き独立”の選択肢には38%が賛同した。

県民意識調査の結果と共通する点として「オスプレイ強行配備などに県民は怒っている。『差別』という言葉が広く使われるようになり、潮目 が変わった。2014年の県知事選以降の“オール沖縄”の流れで、基地に反対する経済人が現れたことも県民に勇気を与えた。環境の変化に加え、設問の工夫で隠れた本音が引き出された」と分析する。

一方で県経済が基地に依存しているとの誤解も根強いことを挙げ「県民総生産に占める基地収入が5%しかない点など、知識が広まれば自治権拡大の意見はさらに増える」と予測した。

自治の在り方に関心が高まる状況に関して「自治を考える上で、これまでの沖縄振興体制の功罪を問うことが求められる」と指摘するのは、琉球大学の島袋純教授(政治学)だ。

「現行通り」が半数を割り込んだことに「沖縄側からはこれまで道州制の議論と連動し、経済界を含めて自治権強化を継続的に求めてきた。一括交付金が創設されるなど裁量は大きくなったが、それでも県民の不満は解消されていない。基地問題に関する権限を移さないと解決しない、沖縄の自己決定権を回復すべきだという考えが浸透してきた表れだ」と見る。

その上で政府が基地と振興策の“リンク論”を露骨に主張し始めたことに警鐘を鳴らす。「政府はより基地と振興を関連付け、沖縄を屈服させる制度につくり変えたいはずだ。その前に沖縄側で今後の振興体制をどうするか議論すべきだ。」高率補助は自治体の財政を崩壊状態に追い込んだ側面もある。全国に対し、基地負担を正当化するツールにもなった。沖縄振興特措法を廃止し、基地の引き上げを求めるのも一つの手だ。この5年が勝負になると思う」と語った。(宮城隆尋)

琉球新報が昨年10〜11月に 実施した県民意識調査の結果について、各分野の識者や関係者が分析し、県民像を語った。



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