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先進国内の独立問題 自治権拡大で解決目指す
2014年9月21日 14:27

写真=スペイン北東部カタルーニャ自治州のバルセロナで、独立を求めて行進する人々=11日(ゲッティ=共同)

 英北部スコットランドの住民投票は、国家を揺るがす分離・独立問題を民主主義の枠内で解決しようとしたと称賛された。英国と同様に独立問題を抱える他の先進国でも、地域の自治権拡大による解決を目指す動きが主流となっている。

 英連邦の一角、人口約3500万人のカナダ。人口約800万人のケベック州では、80%以上が話すフランス語が公用語。カナダ全体ではフランス系は少数派のため、文化的価値観が疎外されているという意識がある。

 1960年代から独立問題がくすぶり、80年と95年には住民投票を実施。いずれも独立派の敗北に終わった。
 しかし、その後、ケベック州は自治権を拡大して事実上の「国の中の国」(英BBC)の地位を確立し、独立運動は歴史の一章になったとも指摘される。
 スコットランドの動きに最も触発されているのがスペイン北東部のカタルーニャ自治州だ。欧州危機の影響で、緊縮財政を進める中央政府への反発や、税制面での不公平感を背景に急速に独立志向が高まった。スコットランドとは違い、政府との合意なしに11月に住民投票を強行する構え。

 スコットランド住民投票の独立否決を受け、スペイン中央政府のラホイ首相は歓迎する声明を出したが、カタルーニャ州のマス首相は住民投票を阻止しようとする中央政府を批判、投票実施に強い意欲を示した。

 北部オランダ語地域と南部フランス語地域の対立を抱えるベルギーでは、北部の独立を目指す政党「新フランデレン同盟」が今年5月の総選挙で第1党となり、根強い独立志向を裏付けた。ベルギー経済は北部が南部を支える構造になっており、「独立してより豊かに」との発想はスコットランドの運動と共通する。

 ただ、ベルギーでは90年代に連邦制が導入され、地域政府への大幅な権限移譲が進んでおり、現在は早期の独立を目指す機運がない。
 新フランデレン同盟は、英国との分権交渉に入るスコットランドが、より多くの権限を勝ち取れるよう「成功を祈る」とコメントした。

(ニューヨーク、パリ、ブリュッセル共同=尾崎元、松村圭、永田潤)


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