琉球独立論討議資料

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日本外交と政治の正体 日刊ゲンダイ 2016年10月7日 外交評論家 孫崎享

現地では真剣な議論 日本国民は沖縄を独立させたいのか

 近年、沖縄県内で「独立論」が活発に議論されるようになった。きっかけとなったのは、米軍普天間基地の移設問題や、高江のヘリパッド建設強行である。

 2013年12月、仲井真弘多知事は公約を翻し、政府の辺野古埋め立て申請を承認したと発表した。多くの県民がこれに怒り、翌14年11月の知事選では、埋め立て反対派の翁長雄志氏が大差で仲井真氏を退けた。この県民の意思を反映して翁長知事が埋め立ての承認を取り消したところ、国は「無効」と裁判所に訴え、今年9月、福岡高裁那覇支部は国の主張を認める判決を言い渡した。

 選挙で選ばれた知事が民意に従って行動すれば違法になるという−−民主主義を否定する日本政府と裁判所の判断はめちゃくちゃだ。沖縄県民が反発するのは当然で、この県民の怒りを代弁した糸数慶子・参議院議員は外国特派員協会の会見でこう訴えていた。
「県民の中に、これ以上自分たちの思いが届かず、自己決定権すらないのであれば独立を、との動きがあるのも事実」

 数年前に沖縄の地元紙「琉球新報」主催の政経懇話会に招かれた際、「琉球新報」の社長や大田昌秀・元県知事と懇談した。その時、話が沖縄独立論に及び、大田元知事は「これはちゃんと勉強しなければならない。自分は今、勉強中だ」と話していた。「琉球新報」の社長も、講演に集まった沖縄の政財界の著名人の前で「今日から私は沖縄独立論を主張する」と断言していた。

 沖縄では今、辺野古移設や高江のヘリパッド建設に反対する「島ぐるみ運動」も独立を訴え始めたほか、国連の先住民族擁護の流れに乗ろうとする「先住民族派」や、13年5月に発足した「琉球民族独立総合研究学会」も独立を唱え始めている。もはや沖縄独立論は一部の人が、酒席などで持ち出す与太話ではない。沖縄で政財界の中枢にいる人々が真剣に論議する段階に入ったのだ。

 この問題に火がつけば、琉球処分や沖縄戦など、過去の問題が再燃する。尖閣という無人島で大騒ぎする日本人が沖縄独立論に無関心でいられるのは不思議な話だ。


まござき孫崎享沖縄独立


  まござき孫崎享沖縄独立日刊現代新聞

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