討議資料

琉球新報2014年1月9日 論壇

県議は実態調べ公表を 『見せかけの沖縄振興策』 比嘉康文

 一般に、人の言葉を信ずることの率直さには敬意を表するものだが、仲井真弘多知事と安倍晋三首相との言動に対して大多数の県民は「まさか」という疑いの気持ちが真っ先にくるだろう。「オレ、オレ」詐欺など、詐術が横行するこの国で、そこまで政治が劣化しているとは思いたくないのだが。
 仲井真知事は「安倍内閣の沖縄に対する思いが、かつてのどの内閣にも増して強いと感じた」、そして「いい正月になるなあ」とはしゃぎ、安倍首相は「知事に約束したことは全力でやる」と述べた。あたかも、沖縄振興に全力を投球するかのような言動だが、閣議決定もなく、文書化されたものでもない。単なる口約束だ。政治家の口約束はいつもほごにされることを県民は知っている。
 仲井真知事が「驚くべき立派な内容」と喜んでみせた政府の回答だが、『東京新聞』(昨年12月28日)は「見せかけの沖縄振興策」「関係薄い予算 多数計上」の見出しで、一般予算化されている「学校耐震化」「不発弾対策」「空港の整備」などを指摘し、「沖縄振興策とは直接関係ないものも少なくない。基地負担軽減策も実現の保証はない」と指摘している。
 その記事を読んで「北部振興費」を思い出した。10年間にわたって毎年100億円支給されることになっていたが、その100億円が一回で満額支給されるのではなく、10億円は翌年に交付金として支給される仕組みになっていた。そこに各省庁のコントロールの仕組みが隠され、使いにくいものとなっていた。つまり「北部振興とは直接関係ない一般事業」で埋められていたのだ。
 その「北部振興費」の前例があるにも関わらず、仲井真知事はまるで幼児がお年玉をもらってはしゃぐような姿を全国にさらしてしまった。そして、安倍政権を持ち上げた。県民の先頭に立つ知事としてあまりにも勉強不足であり、幼稚と言わざるを得ない。
 保革を問わず県議の皆さんは沖縄予算3460億円に盛り込まれた事業の実態を調べて、県民に公表してもらいたい。それを怠ると、スローガン政治となり、いつまでも「陳情の歴史」が続くだろう。
 本土では「金さえやれば、沖縄は何でも受け入れる」と吹聴され、県出身者は肩身の狭い思いをしている。本土に住む友人の電話には、その悔しさと怒りが満ちていた。
 どんなに考えても、県民にとって「いい正月」にはならず、悔しい新春のスタートとなった。それをどうしてはね返すのか。県民の努力が試されている年となった。

比嘉康文

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