討議資料

琉仏条約、仏にも原本 「琉球は独立国」認識
2015年2月8日

 琉球国が1855年にフランスと交わした琉仏修好条約のフランス側の原本が、フランス・パリ東部に隣接するヴァンセヌ市の海軍公文書館に保管されていることが7日までに分かった。琉球国は前年の54年に米国と、59年にはオランダと同様の条約を締結した。フランスを合わせた3条約の琉球側の原本は現在、外務省外交史料館に保管されている。フランス側の原本が確認されたことで、フランスは当時、琉球国が主権を持つ独立国家と認識していたことが裏付けられた。
 フランス側の原本は、フランス科学研究センター名誉教授のパトリック・ベイヴェール氏が確認、2013年に写真撮影した。
 条約原本の大きさは、外交史料館にある原本(縦約36センチ、横約38センチ)とほぼ同じとみられる。表紙はなく全4枚で、漢文と仏文で書かれ、琉球王国の印と、フランスのゲラン提督のサインがある。ゲラン提督の航海史料の中につづられているという。条約は11カ条で構成。両国人民の友好、商品の自由購入の保証、土地・家屋・船舶などをフランス側が借用することなどをうたっている。第10条では、琉仏両国の違法者はお互いの法で処罰すると規定している。フランスは条約を批准していない。
 琉球側の原本については、琉米条約、琉蘭条約とともに74年5月に明治政府によって没収され、外務省が保管している。これら修好条約3原本は27日から浦添市美術館で展示される。沖縄での展示は初めてで、141年ぶりに海を渡る。
 国際法の専門家は「3原本は琉球が当時、国際法の主体として主権を有していた証し」と指摘しており、今回フランス側の原本が確認されたことで、沖縄の自己決定権拡大や「主権回復」を求める議論に影響を与えそうだ。(新垣毅)


(写真)フランス側が保管している琉仏修好条約=2013年5月13日撮影、フランス・ヴァンセヌ市の海軍公文書館

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