討議資料

沖縄タイムス2015年3月20日 論壇

近隣諸国と平和外交を 現政権に「軍靴」の恐怖拭えず 比嘉康文

「国の指導者が軍事を語り出すとき、それは外交が失敗したときである」。これは世界各地の紛争を掌握している国連事務総長の椅子に座っていたガーナ出身のアナン氏の言葉である。安倍晋三首相の就任以来の言動や行動を追うと、アナン氏の言葉を思い出した。
 アナン氏は国連生え抜きの人物として初めて事務総長(第7代)になり、国連が国際的な平和・安全保障の領域で新しい任務を担えるように尽力した。平和維持活動担当の事務次長時代には「国連加盟国が主権をたてに違反行為をすることは認められないことを明確にした」ことで知られている。後にノーベル平和賞を受賞した。
 安倍首相は隣国の中国や韓国との外交はうまくできず、ひたすら太平洋を越えたアメリカのご機嫌を伺いながら自衛隊を地球の裏まで派遣できる恒久法の制定に邁進している。
 この集団的自衛権は内閣法制局が一貫して「憲法上行使できない」と述べてきたものだが、それを反故にして明文上可能にした。その結果、日本の防衛とは関係のない各地の戦場に自衛隊員を派遣させるという。
 日本はドイツ、イタリアと三国同盟を結び、無謀な戦争をしてきた。その反省に立って平和憲法を制定し、二度と戦争をしないことを誓った。だが、一内閣の判断で戦争への道を暴走している。十一月の衆議院議員選挙の際は消費税増税の先送りとアベノミックスが争点と主張していた安倍首相だが、選挙で大勝利した途端に安保法制などすべての政策が国民から信任されたとして「決めるのは私だ」と開き直った。わが友人は「ヒトラーの登場と似てきた」と指摘している。
 訪日したドイツのメルケル首相は日韓関係の重要性を述べ、慰安婦問題をきちっと解決することを提言した。ヒトラーのユダヤ人虐殺の「負の歴史」と向き合ってきたドイツは、今ではヨーロッパ諸国だけでなく世界から信頼を得て、指導的な立場を確保している。
 一方、韓国から慰安婦問題を突きつけられ、「戦後70年談話」では中国やアジア諸国からは「植民地支配と侵略」を認め、「心からのお詫び」をするかが注目されている。
 平和ボケといわれる日本だが、その間に自衛隊を「国防軍」にして紛争国に派遣し、自国の若者たちに血を流すことを強いる。それを国民は望んでいるだろうか。近隣諸国をはじめ世界各国との平和外交を展開するのがスジだろう。そう考えると、安倍政権には無気味な不安を感じる。それは軍靴の音が再び忍び寄ってくる恐怖だ。(無職、宜野湾市)

比嘉康文

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