討議資料

沖縄タイムス2014年5月31日

平和憲法を形骸化する集団的自衛権行使容認 歩みたいアジア諸国との共存共栄の道 比嘉康文

 「日本に平和維持への軍事的参加をさせるのはアルコール依存症の人にウイスキー入りのチョコレートを与えるようなものだ」。これは1992年春、国会が国連平和維持活動(PKO)協力法案をめぐって大荒れとなっていたとき、商業都市国家シンガポールの初代首相リー・クワン・ユー氏が述べた言葉である。
現在、安倍首相が強引に進めている解釈改憲、集団的自衛権の行使容認、武器輸出、先島への自衛隊配備、辺野古新基地建設などをみると、リー氏の言葉を思い出した。
来年は敗戦後70年の節目の年。その間日本は戦争をしなかった。それは「憲法9条のお陰だ」として埼玉県の主婦・鷹巣直美さんが「憲法9条にノーベル平和賞を」と、ノルウェーのノーベル委員会に申請し、4月9日に受理された(『週刊金曜日』989号)。
国民は、戦争放棄を明文化した憲法9条を守るのに必死だが、安倍政権は日本の侵略戦争で犠牲になったアジアの人々に思いを巡らすこともなく、他の国からの脅威を振りかざし「戦争のできる国」づくりに邁進している。
その憲法第9条は「国民が平和の尊さを再認識し、人類の英知を結集した究極の平和を謳ったもの」である。また、それは日本の侵略戦争で悲惨な目に遭わせたアジア諸国に対する「詫び状」でもある。だが、安倍政権は国民の思いとは逆方向を歩み始め、平和憲法を形骸化することに熱心だ。それだけではない。靖国神社参拝や慰安婦問題にみられるように近隣諸国に対して挑発的である。
新右翼団体「一水会」顧問の鈴木邦男氏は「日本はアジア諸国に対し、弁解のしようのない失敗を犯してきた。そこを認めずに日本は正しかった、悪いことはしていない、失敗を認めることは反日的だと言いつのり、良いところばかり愛するのは愛国心ではない。心の痛みが伴わない愛国心は、フィクションにすぎません」と述べている(『朝日新聞』2012年9月19日)。
将に鈴木氏の指摘の通りだ。韓国や中国は安倍政権を危険視し、これまで首脳会談が開かれていない。さらに憲法をなし崩しにした集団的自衛権の行使容認はアジアの国々にとって警戒感を強めることになる。それは冒頭のリー氏の言葉で解かる。敗戦後、70年近く戦争をしなかったことは世界に誇ることができる「財産」だ。アジア諸国との共存共栄の道を歩むべきだ。
28歳で獄死した反戦川柳作家鶴彬氏の「手と足をもいだ丸太にしてかへし」という時代だけは迎えたくないものだ。
(宜野湾市、72歳)

比嘉康文

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