太田竜 6/7

     (十)
 義軍と革命軍の関係について、私は次のように規定する。
 「革命、情報、認識(よみかきのしかた)」24回(「週間読書人」3月13日号)では、この両者の間に区別をしなかった。これは不十分である。
 義軍は、支配階級のつくった文明を継承し、その国境をも継承する
 従って、辺境の反乱が発展して来ると、この義軍は、必然的に分解し始めるのである。つまりこの軍隊は、辺境の蕃族の反乱に味方するものと、敵対するものと、この二者に分れるのである。
 革命軍は、辺境の反乱軍と、帝国の本国における義軍が共通の目標で統合するときに、初めて成立する。

     (十一)
 アイヌ独立を支持することのできる(従ってまた、宮古島の呪術信仰を土台として包摂する)琉球共和国は、世界ソビエト社会主義共和国の萌芽を内包していると私は確信する。

     (十二)
 スターリンの神秘性。
 それは、スターリンがソ連一国を越えて、全世界の被搾取者階級の指導者として生きているという幻想に支えられていた。
 いま、この神秘性はあぶくのように消え失せた。
 毛沢東の神秘性。
 これもまた、毛が中華の国の国境を越えて全世界のプロレタリアートの利益を代表しているという幻想に支えられている。
 毛もこの神秘性もまた、次の2〜3年のうちに、「中華」の国境の外で、あとかたもなく消滅すると私は断言する。毛というこのペテン師が、何ということもない凡俗な中華民族主義者にすぎぬという実証が、地上35億の大衆の一人一人に対してなされるのである。
 中華の国の軍隊が世界革命戦争の主力軍であるというような錯覚を前提にして戦略を立てる人は、みずからを破局に追いつめることに必ず成る。
 花園紀男(かっての赤軍派政治局員、獄中)は、日共革命左派(毛沢東思想を土台とする)の「反米愛国民族民主革命の路線」をほぼ全面的に受け入れるという趣旨

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