太田竜 3/7

 私が1968年に編訳した『アメリカの黒い蜂起』(三一書房)をふまえるなら、アメリカ合衆国の今日のこのような局面は、まことに道理である。

     (四)
 英国におけるアイルランドの位置。
 いうまでもなく、それとほぼ同じ位置を琉球独立運動は、日本帝国に対して占めようとしている。
 すでに反米反日の基調のもとに琉球独立党(野底土南委員長)が登場している。5、15日の日本帝国による琉球再併合は、琉球独立運動の飛躍的発展の跳躍台となるであろう。

     (五)
 私は、『日本の将来』72年冬期号の論文「東南アジア、一切の文明的偏見を捨てよ」(私はそれを1971年11月から12月はじめにかけて書いた)のなかで、オーストラリア原住民の来べき斗いについて(何らの情報も持たぬままに)、予断した。次の5年以内に、彼らが復権の斗いを開始するであろうと。
 1972年3月9日付朝日新聞から引用しよう。
 <オーストラリアの原住民に、中国政府からの招待状が届いたというので、いまこの国の保守政界をびっくり仰天させている。
 このニュースは首都キャンベラの国会議事堂の前庭でテント生活を続け、すわり込んでいる若い原住民たちから明らかにされた。この"原住民大使館"[ここから判断すると、オーストラリア原住民同胞たちはおのれを、独立した共和国と見なしているらしい。まことに正しいことだ。]のスポークスマンを名乗る男によると、中国政府は20人の原住民活動家を公式に招待し、32日間、ただで中国大陸旅行をさせてくれるという。
 原住民のすわり込みは、先月、彼らの国有地使用要求をオーストラリア政府が拒否したために始められた抗議行動だが、この中国からのとつぜんの招待で、キャンベラの政界を大きくゆるがす事件となりつつある。
 “約200年前、初めてオーストラリアに上陸した英人探検家、クックはオーストラリアはすべて英王室の土地と宣言したが、「われわれはそのずっと前からこの土地の正当な所有者だった」というのが原住民の主張だ”

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