太田竜 1/7

 琉球独立党と水滸伝

ゲバリスタ   
太 田  竜 



     (一)
 一人の世界革命浪人(ゲバリスタ)から、親愛なる琉球共和国同胞へ、
 「共和国」は、5・15を契機として開始される日本帝国軍隊の侵略行動に反対し、日本軍の指揮官・将校団を攻撃の目標とする。
 これは必然の成り行きだ。  さて、日本帝国は琉球遠征軍の隊長に、琉球出身の桑江一佐を任命した。
 同胞諸君。
 「共和国」は、攻撃の第一目標を桑江一佐とすべきか。それとも、琉球出身ではない、桑江一佐に次ぐ高級将校とすべきか。
 このテーマは、緊急且つ核心に触れるものであり、1972年の後半に、この問題に対する解答が与えられるものと私は信ずる。
 同胞諸君。
 新川明というインテリペテン師が沖縄タイムス社の幹部記者をやっている。
 このインチキエリートインテリ氏は、「反国家の凶区」(現代表論社、1971年11月刊)という論文集で、「反復帰の情念」を呼号しつつ、琉球独立党に対する(反米帝の方向がない、などという)けがらわしい中傷をまきちらしている。
 新川というペテン師の正体は、彼が、その思想的土台を、大沢正道という今日の日本の代表的文明的アナーキズム(周知の通りこの潮流は、日本帝国主義の今日の主要な対革命安全弁の1つである)評論家(というのもおとなげないが)の国家論に求めている(同上書305〜6頁)のところに、バクロされている。
 つまり、新川某は、琉球人民の独立の志の展開を、「反復帰」という防波堤のところで封じ込めるために、日本帝国主義の第一線の番犬としてのエサを、沖縄タイムス社によってあてがわれているのである。
 このような人物こそ、琉球人民にとって味方のような顔をしたもっとも危険な敵である。
 反復帰、というところまでは利用できる。

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