野底土南 18/23

ドルの増収にあたる。ちなみに、69年度の琉球勤労世帯の平均月収104ドルと比較しても、その高さがいかに高いかおよそ見当がつく。
 しかも、増税の内容をみると、石油税(ガソリンの値上率2.25%)煙草消費税増税6%)等と物価をおし上げる物品税のひき上げによって増収を計っているのである。
 この大幅賃上げ斗争は、既得の水準が復帰後邪蛮政府または犬庁に引きつがれるのを見越して、いわば、既成事実を作る思惑が働いていた。
 年中行事と化した斗争によって、例えば別紙教員の月給比較表が示すように「本土並み」を上回る水準に達していた。殊に、全逓のごときは、平均して30ドルも「本土並み」より高いと報ぜられている。
 他方、事業費の伸びは表面上17%となっているが、執行の都合で、前年度から繰り延べられているのが相当あるので、それを除外すると、7%になる。
 72年度の予算も大同小異であるから、屋良政権は公金をぶんどるために登場したと評しても、決して酷ではない。あれほど、住民に公約した物価安定策など、むざんにも裏切る施策が実はこの予算である。
 さる70年8月の予算騒動は、まだ、人の記憶に生々しくのこっているところである。
 もし、ほんとに自ら協約した数々の公約、なかでも人民大衆の福祉に直結する物価安定策を実行する誠意があるなら、人件費の増額分1,362万ドルのうち少なくとも500万ドルは物価安定基金として、たとえば流通機構の整備、生鮮食料品の貯蔵施設、生産調整のための諸施策が実行できたはずである。72年度でも同じ。
 しかし、屋良政権を支える沖縄教、官公労の諸君に期待するのは無理だ。何故なら、彼等の習性が極めて利己的であり、住民に対する誠実さ、思いやりが、 みぢんもないからだ。
 しょせん、役人であって、収奪者である本性に変りはしない。
 憶えば、戦後民主政治とは、多数なる人民の税金、料金、預貯金を管理する少数の受託者が、これを身勝手に喰いつぶす競争であったといえよう。この斗争に関する限り、保守、革新は、表面上の対立にもかかわらず、親密な同盟者である。
 何故なら、上級公務員は概ね保守のリーダーであり、上厚下薄の分前に、手をぬらさずにあずかるからだ。この上厚下薄の実体はの実体は次の琉球高官の月収比較表が示す。
 保守、革新は実は同じ穴のムジナであることは、今や、誰の目にも明らかである。

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