野底土南 10/23

 この財政金融のメカニズムによる資金の収支は復帰後どうなるか試算したのが次の表である。

琉球収支バランス 単位:百万ドル
流  入流  出
交付税、負担金として100国税80
国家公務員と国家独占企業体 社会保険特別会計年収21
から受ける給料等の見積50郵便貯金13
政府金融機関より(当初)50電々公社収入16
 郵便事業収入12
 民間預金の流出100
 タバコ収入20
資金純流出額122建設予算等のうち日本へ逆流
するものの推定30%
60
  合  計322  合  計322

 民間の商業ベースによる資金の収支は度外視して、いわば、制度上の資金収支を1971年度の予算書を基に試算した。その結果、1億ドルを超える資金の吸い上げが予想される。これまで、一切の税金、料金、タバコ収入は、まがりなりにも琉球内で資金として働いていたが、今後は主として東京政府の収入として、時々刻々流出する。この資金の流出は、如何なる政治力をもってしても、ひきとめることはできない。前表にみたとおり、各県は軒並に赤字を示しているところから、早晩、おなじ経路を辿るであろう。まして、ドルショック、復帰恐慌により経済の破綻は一層その度を増すから先行はまことに暗い。財政金融の自主権なくして如何なる経済の自立がありえようか。また、その反映である文化上の独立もありえようか。日本の各地方の人々は、自分の地位が東京政府の植民地であると意識する者は殆どないかもしれない。意識がないのは、長い間中央権力に飼い馴らされた結果であって、日本に民主主義が育つ基盤がないことの証明にもなる。また、地方の過疎、都市の過密、公害の真犯人は誰かをもこの表は示している。富と権力の極端な集中、しかも、その巨大なる富の管理が、わがままで独善的な

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