野底土南 4/23

I  琉 球 民 族 エ レ ジ ー

 この設問ほど吾々の祖国−−文字どおりウヤファーフジの国琉球に生をうけ、琉球民族としての誇りをもつ者にとって屈辱に満ちたものはない。
 「返還協定」の内容が、わが民族の悲願である軍事基地の撤去を無視したからというだけではなく、より根源的な次の諸点から屈辱を感じるのである。
 1.民族自決権−−憲法秩序の前提となる。憲法より上位の権利を米日両政府立法機関は無視したこと(国連憲章第1条)
 2.タキナムンヌチャー愚劣な政治屋どもはこの崇高なる権利に自覚することなく、主張することなく、しかも、後述するとおり任期を引き延ばして住民代表の虚構をもって、わが民族を日本に売り渡したこと。
 3.わが琉球と日本のそれぞれの歴史、文化を対比した場合、日本は侵略、殺りく、掠奪、戦争の連続であるのに対し、わが琉球はそれとはまったく反対の、もっとも人道にかなった平和と友好の歴史をもつこと。すなわち、わが琉球は道義の国であるのに対し、日本は犯罪の国である。それだから、日本を邪蛮とあてるのである。わが琉球の栄光の歴史、文化の特長を私は道理に求める。そして、この道理の魂こそ、今日の国連憲章の精神だと解している。道理の魂は、民族の同権と自決権の尊重−−主権平等、友好互恵の原則の前提をなす。−−を基礎として国際平和を希求するのである。
 4.タキナムンヌチャーは、オノレの民族の栄光の歴史、その文化価値、−−人類普遍の理念を求めて実践した過程で培われた精神を忘れて、イカサマ、マッカーサー憲法をば美化し、わが民族を幻想と虚偽の祖国へひきずりこんだ。
 人は法制というレッテルにとらわれて、実体−−栄光の歴史をもつ琉球民族の実体−−琉球共和国々民を自覚しようとはしないかもしれない。
 しかし、外部権力によって塗りつけられたメッキの化けの皮は、無意識のうちに、いつもはげているのに気がつかない。
 だが、目下の歴史の過ちに際会して、過去を省み、現在及び未来を語ることは決して無意味ではない。いや、幻想と虚偽の祖国邪蛮へ権力授受がなされた屈辱の日、72.5.15から恐慌が始まり、人心は動揺し、生活破綻にうちひしがれたこの惨状から出発しているこの意味は極めて重大かつ、暗示的である。幻想は、はかなくうち破られたのだ!
 無知、無能、他力本願、劣等感、怯懦、厚顔無恥のカタマリだった旧琉球政府、

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