琉球独立論研究資料

琉球新報 2017年11月18日 論壇 浜川 登

時を見る力、独立への思考「当たり前のもの」選択を


浜川登氏
  

琉球新報 2017年11月18日 論壇 浜川 登

時を見る力、独立への思考「当たり前のもの」選択を


 近代は「当たり前のもの」が存在しない。人生で出会うすべてのことは、自ら意思をもって選択しなければならない、とイギリスの社会学者アンソニー・ギデンズは述べている。そのことは今、沖縄・琉球人が1609年以来の屈辱的行為から解き放たれるには、自らの意思をもって沖縄・琉球人の自己決定権を示すまたとない時だ。

 薩摩に侵略された琉球人は奴隷的といえる捉15条によって琉球人の人権、身分は束縛され、琉球の富は薩摩に強奪された。このような状態が今日まで400年余続いていることへの怒り、抗う意思を明確にしなければならない。つまり、自らの意思をもって選択すべきは、「当たり前のもの」への自由、民主主義、自己決定権の確立であり、ヤマトからの独立だ。

 さらにヤマトは帝国主義を掲げ軍事国家拡大への流れの中で、琉球を併合するに至った。そして、傍若無人な振る舞いで、軍隊が置かれた歴史的事実と資質は今も変わらない。それは今日の基地問題に於いて民主主義も三権分立も在るのか、特に司法の独立はあるのか、結局最後は、政治の都合に合わせるように変えられていないか。

 何が正当な結論なのか、決定は常にヤマトの都合に沿うように処遇される。ヤマトは先のサンフランンスコ講和条約の締結で、独立主権国家となった一方で、沖縄・琉球はヤマトから切り離され、米軍統治下へ追いやられた。

 この時から沖縄・琉球は27年に及ぶ米軍統治下に置かれ、圧政と経済の疲弊から逃れることへの必死の思いが先走りし、独立運動への思慮深さを欠いたことで道筋を外してしまった感は否めない。そしてヤマト復帰が、沖縄・琉球人が描いた憲法に守られる状況とは程遠く、現在も沖縄・琉球人は解けない鎖に繋がれた状態にある。

 このように日米の「植民地状態」をつくっているものが、安保条約と日米地位協定によるものであることは言を待たない。ヤマトがこの二つの条約、日米同盟を本気で解消する意思がない限り、つまりそれは沖縄・琉球人が今の状態から抜け出す道はないということだ。

 それでは、沖縄・琉球が独立すべき理由として2点に着目する。まず、歴史に基づく事実として、政治的違法行為により理不尽な状態を強いられたこと。二つ目に琉球処分という身勝手な権力の行使と、政治的同化政策により琉球民族の淘汰を図った。このような蛮行とも言える権力の歴史的な差別の構造を断ち切るために、沖縄・琉球人は独立という「当たり前のもの」を選択すべきだ。
(豊見城市、74歳)


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