討議資料

琉球新報 2011年1月19日 論壇

TPPで農家を"解放"  JA専務理事は現実直視を  比嘉康文

 本紙1月16日のJA沖縄中央会の金城秀之専務理事が書いた「TPPの光と影」の論壇を読み、失望したことを告白しておく。なぜか。現在の農村の衰退はJAに大きな責任があると考えているからだ。
 具体的な事例を紹介しよう。JAは黒豚のアグーを商標登録して農家に「アグー」の使用を禁止した。JAの言う「アグー」は在来の黒豚でしょうか。JAはあるデパートにアグーを出荷したとき、売れすぎて肉豚が不足し種豚までも出荷した。その後は外国種と交配した白豚を供給していると聞く。JA関係者から聞いたので事実と思うが、その経過を明らかにしてもらいたい。
 琉球国の種としてアグーの保存・育成に務めたのは琉球独立派の名護宏明氏である。名護氏から提供されたアグーが名護市博物館に展示された。その経緯は雑誌「うるまネシア」10号に書いたので、JAの幹部はぜひ読んでもらいたい。
 つまり、アグーは固有名詞でありJAが登録すべきものではない。「アグー」という言葉が使えないので、畜産農家は苦しんでいるのが実情だ。農村では「JAは農家が育成したものを横取りする」と言われているが、アグーもその例外ではなかろう。
 それだけではない。石垣牛もアグーと同じ道を歩もうとしている。1月4日の本紙論壇に問題提起した金城利憲さんは石垣で牧場を経営し、北谷町で石垣牛の焼き肉店を直営している意欲に燃えた畜産家だ。どうしてJAが農家を苦しめることをするのか。小生は理解に苦しむ。
 金城専務理事は「現状は、トウモロコシなどの飼料穀物や肥料原料は無税で輸入されている。関税撤廃で飼料や肥料が安くなるというのは過った認識だ」と書いている。その文章には「特定業者」という文字が抜けている。
 「特定」というのはJAや全農を意味するのか。実態を明らかにしてもらいたい。畜産農家がインドなどから無税で飼料や肥料を輸入できるのか。回答してほしい。
 「アグー」をJAが商標登録したためアグーの大規模経営を考えていた畜産農家が事業を中止している。石垣牛を飼育していた畜産農家にも自殺者が出た。
 JA職員の研修では千葉であったかんがい事業の映画を見せられる。それは農家と共に生きる組合の姿を学ぶためだ。しかし、今のJAのやり方には農家を豊かにするという文字はなく、決算で黒字を出せばよいという意識しかみえない。
 この際、TPPを導入してJAの締め付けのない農業を築くことを考えようではないか。



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