討議資料

琉球新報2015年10月22日 論壇

歴史的な翁長知事の国連演説 米軍基地集中は人権問題だ 比嘉康文

「日本に訴えて何ひとつ解決したものがあるか!」。翁長雄志知事が「辺野古新基地建設は人権侵害である」と国連人権理事会で訴えた記事を読み、敗戦後の琉球政府立博物館長だった歴史家の山里永吉氏の冒頭の言葉を思い出した。
 ことしは敗戦後70年目の節目の年になるが、明治政府が武力を背景に琉球国を滅ぼし、日本の版図に強制的に組み込んだ琉球処分から大正・昭和の戦時体制、そしてアジア・太平洋戦争、敗戦、米軍統治、日本復帰と世替わりしてきた沖縄。その間、約130年。わが沖縄の「苦渋の歴史」はいっこうに解消されぬままである。
 翁長県知事は、これまで安部首相や菅官房長官らと協議を重ねてきた。だが、安倍政権側は沖縄が強いられてきた「苦渋の歴史」を理解せず、まるで壊れたレコードのように「普天間の危険性除去には辺野古が唯一の解決策」を繰り返したという。そこには対話は成立しない。翁長知事が国連に訴えるのは当然の成り行きである。
本紙(23日)の社説が「1950年代には基地拡張のため『銃剣とブルドーザー』で強制的に住民の土地を取り上げた。占領下での民間地奪取を禁じるハ—グ陸戦条約に違反する非人道的な手法であり、沖縄の基地は人権や自己決定権が踏みにじられる中で形成された歴史的事実がある」と述べている。まさにとおりで、沖縄人の気持ちを表している。
それは沖縄の現実をみれば歴然としたことだ。ドイツのボン市では協定が守られ、夜間や早朝、地域の行事などのときには米軍機の飛行禁止が守られている。イタリアの昼寝(リポーゾ)の時間帯である午後1時から4時までは飛行禁止だ。わが家の近くにある普天間飛行場を離発着する米軍機は24時間お構いなしで飛び、日々の安眠を妨害している。
米軍人軍属の筆舌に尽くし難い事件事故ばかりではなく、米軍基地から派生する環境汚染も無視できない。そうしたことが人権侵害でないならば、いったい何と呼ぶのだろうか。
普天間の県外移設を拒んでいるのは自民党政権だ。1995年の少女暴行事件が起こったときのモンデール駐日米国大使は、米軍の沖縄からの「撤退」か、「駐留の大幅削減」を考えていたが、日本が望まなかったという(本紙社説2015年1月11日)。
だから、在ジュネーブ日本政府代表の反論は当てはまらない。普天間基地撤去のチャンスを逃して「固定化」で県民を脅迫するのは言語道断だ。県選出の自民党国会議員の談話も全く納得できない。(宜野湾市、73歳)

比嘉康文

 かりゆしクラブからお願い
  この比嘉康文さんの意見に反論なさりたい方は、本名、電話、住所をぜひ書かれて下さい。比嘉さんは選挙のチラシでも自分が作ったものには氏名、電話番号、住所を明記される方です。本人が確認できない意見は幽霊のことばであり、信用できないという考えの方です。以上

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