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051004M  2005.10.4
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リビア油田採掘権 日本5社、初の落札 「自主開発」に弾み

 日本企業五社がリビアで二日に行われた油田鉱区の国際入札で、採掘権を落札した。原油埋蔵量が世界九位のリビアで、日本企業が権益を獲得したのは初めて。なりふり構わずにエネルギー資源を確保してきた中国の影響もあり、石油資源の獲得競争は世界的に激化している。原油価格が歴史的な高値で推移する中で今回の落札は、石油資源の安定供給という日本のエネルギー戦略にとって大きな意味合いを持ち、日本企業による「自主開発油田」の開発にも弾みがつきそうだ。(高橋俊一)
 落札したのは新日本石油、帝国石油、石油資源開発、国際石油開発、三菱商事の五社で、対象となった二十六鉱区のうち六鉱区で権益を確保した。帝国石油と三菱商事連合が二鉱区を落札。石油元売り最大手の新日本石油も三菱商事と組んで一鉱区、石油資源開発、三菱商事との三社連合でも一鉱区を落札した。ほかに石油資源開発が単独で、国際石油開発はフランスの石油大手トタールと組み、それぞれ一鉱区の権益を得た。
 各社は今後、それぞれの鉱区で原油埋蔵量を確認する探鉱作業に入る。期待通りに原油の埋蔵を確認できるかどうかは不透明だが、「早ければ二〇一一〜一二年には生産を開始する」(帝国石油)としている。日本企業が参画する石油開発事業としては、ロシアのサハリン・プロジェクト以来の大規模事業になる可能性が高い。
 エネルギー資源に乏しい日本にとって、自主開発油田の拡大は悲願だ。各石油会社はリスクを抱えながらも、国内向け原油の安定供給につなげるため、積極的に投資する意向を示している。
 だが、日本企業が権益を保有している自主開発油田の原油生産量は、平成十六年度で日量六十八万バレルと原油総輸入量の約16%に過ぎない。サウジアラビア、クウェート国境沿いのカフジ油田の権益を平成十五年一月で最終的に失ったことも痛手だ。
 これに対し、資金力に勝る欧米のメジャー(国際石油資本)は、最大手の米エクソンモービルだけでも生産量は同二百万バレルを大きく上回り、日本勢とは圧倒的な差がある。さらに深刻なエネルギー不足に悩む中国では、昨年の原油輸入量が前年比35%増の一億二千二百七十二万トンと、米国に次ぐ世界第二の石油輸入大国となっている。今夏には中国海洋石油(CNOOC)が米石油会社ユノカルの買収に名乗りを上げ、米議会の猛烈な反発を招くなど積極的な姿勢は世界を席巻している。
 こうした中で、国際制裁で油田開発が遅れたリビアは「残された数少ない有望鉱区」(石油業界関係者)とされ、世界の石油関係者の注目を集めていた。油田開発の相手企業を透明性の高い国際入札で決める方針も示し、日本勢の権益獲得の期待も大きかった。
 メジャーなど世界の有力石油会社も多数参加し、競争は激しかったが、日本勢は落札した六鉱区のうち五鉱区で自らの取り分を6・8−8・0%に抑えるというリビア側に有利な条件で応札し、落札につなげた。業界関係者の間では「一般的には20%前後の契約が多く、条件は相当厳しい」との声も出ているが、リビアに今後の布石を打った意味は大きく、石油各社は今後も自主開発油田の開発に向けた取り組みを強化する。
(産経新聞) - 10月4日2時44分更新