パングラム 現代いろはうた 現代いろは歌 東南西北 住田春生 Japanese Pangrams

東 南 西 北 (春 夏 秋 冬)
作 住田春生

東風 梅見 お寺を歩く   
南風 蒸す 夜半 甦 瀬縁 
西風 今朝 露 稲穂 陽濡れ
北風 麓 寒夜 炉の寝間  

こちうめみおてらをあるく 
はえむすよわそせへり   
にしけさつゆいなほひぬれ 
きたふもとかんやろのねま 



解説
春を告げる東風が吹くと梅の花を見て楽しむ為に、寺社を訪れ歩いている。
高温多湿の南風が吹くと蒸し暑さが夜中まで続く、瀬を渡る涼風で甦れた。
朝晩涼しい秋風が吹く早朝、朝日に光る夜露に濡れた稲穂が立派で美しい。
寒く冷たい北風が吹く麓の夜、寒さが厳しく夫婦の寝室に暖炉火が一晩中灯る。
日本の方角と明確な季節「東西南北」=「春夏秋冬」を現す「風の言葉」の作品です。


語句説明
東 風 = こち。《季 春》春先東から吹く風。氷を解き、春を告げる風
南 風 = はえ。《季 夏》西日本一帯で南または南寄りの風。高温多湿の夏の季節風
西 風 = にし。《季 秋》西方から吹いてくる風。 寂しい秋の風。秋風。ならい。
北 風 = きた。《季 冬》北から吹く冷たい風。暴風となることもある北から吹く季節風
梅 見 = 梅の花を見て楽しむこと。(香)《季 春》梅と桜の名所として、城・寺社、堤がある。
夜 半 = よわ。よなか。やはん。
甦   = 生きかえる。よみがえる。「甦生」「蘇生」生き返ったように元気になること。
瀬 縁 = 川底が浅く、流れの速い所。歩いて渡れる浅瀬の淵。「瀬を渡る風」瀬のへり。
寒 夜 = 冬の寒さが厳しい夜。冷え込みの強い夜。《季・冬》かんや
炉   = 暖をとったり、煮炊きしたりする所。囲炉裏《季 冬》 暖炉。ストーブ。
寝 間 = 夜寝るための部屋。寝室。夫婦の寝室。ねや。
東南西北 = 中国で方角と四季を表わします。「東南西北」=「春夏秋冬」です。また「青朱白玄」
                もあり、東西南北を守る四神(霊獣)の事で、東は青龍、南は朱雀、西は白虎、北は玄武です。
     「 生涯 春=青春 せいしゅん   夏=朱夏 しゅか   秋=白秋 はくしゅう   冬=玄冬 げんとう 」



  =評= 作者のお話によると東西南北の作品を作りたいと以前から思っていたそうです。風を付けることで完成したとのこと。方角と四季を表す良い作品になってます。
暫くは筆を休めるそうです。ただでさえ「いろはうたは」難儀なのによく頭揃えで作れたものです、しかも連投です。この離れ業には頭が下がります。

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