あいうえお殺人事件
作 青空春志

愛飢え岡聞く圭子刺しす
背そ立ちつ手と名似ぬ
根の把皮膚へ
歩間見む目も揶揄世
 ラリる礼呂「わをん」。


あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
やゆよ
らりるれろ
わをん




解説
登場人物 1.礼呂・・・悪い友だちに誘われラリって圭子を刺す。2.圭子・・・本名=けいこ、あだな=けこ、礼呂の愛人。3.岡・・・圭子の友人で相談相手。
恋人同志の礼呂と圭子は最近うまくいってなかった、礼呂が悪い友だちに誘われてラリっていた、圭子は友人の岡に相談に行っていた。それを礼呂はその筋に密告するなどと勘違いし悪く考え圭子を刺してしまった。その場を逃げた礼呂は自首しようか、このまま逃げようか、自殺しようか、大変なことになっている。血で汚れた手をじっと見つめ親の付けた立派な名前と汚れた手と似つかないことに気付く。泥の付いた草の根っこの束を血を落とそうとして手などの皮膚へ擦り付ける。どうしていいかわからずふらふらと歩いていると、世間の人が礼呂の足元を見てからかったりしている、頭がおかしくなった礼呂は自分は強い犬になったと思い吠えた。

語句説明
圭子刺しす=圭子さ死す、につながり刺されて死亡したと推定される。
背そ立ちつ=自首しようか、逃げようか、自殺しようか、大変なことになっている。世間に背を向けた立場。
背(瀬)=うしろ、うら側、反対側。瀬戸際の立場。
手と名似ぬ=親の付けた、礼儀正しい人と言う意味の立派な名前とこの血で汚れた手はとても似つかぬ
把(は)=たば、たばねたもの
根の把皮膚へ=泥の付いた草の根っこの束を血を落とそうとして手などの皮膚へ擦り付けている
歩=ほ、あゆみ、歩行
間=ま、間隔、足と足のあいだ
歩、間見む目も揶揄世=ラリってふらふら歩いている礼呂の足元を見ながら世間の人がひやかしている
揶揄(やゆ)=ひやかしたり、からかったりすること
世=世間
揶揄世=ひやかしたり、からかう世間
ラリる=薬物を用いたり、飲酒などをして頭がおかしくなること
わをん=犬の遠吠え